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代表髙倉の本質的な話。 vol.3「構造が紡ぐ未来―FDM株式会社とSE構法」

Date
25.06.25
Category
Tag
耐震 #コラム #連載
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構造が紡ぐ未来―FDM株式会社とSE構法

私はFDM株式会社の代表として、日々建築の可能性を追求しています。
私たちは、単に建物を作るのではなく、住まい手の暮らしそのものをデザインし、安全で快適な空間を提供することを使命としています。
その中で、SE構法との出会いは私たちの家づくりに大きな変化をもたらしました。

私は小学生の頃から建築の道を志していて、東京の大学で建築を学び、さらに大学院に進んで研究を深めました。
山本理顕先生の研究室で過ごした時間は、建築の基礎と可能性を学ぶ貴重な日々で、当時、私は構造が空間に与える自由度に強い関心を抱いていました。


難波和彦先生をお招きして講演会を企画したことは、忘れられない経験です。
難波先生の代表作「箱の家」シリーズは、その合理性と美しさで多くの人々を魅了しました。その思想に触れることで、私は構造とデザインの調和が生む力を実感しました。
SE構法と初めて出会ったのもこの頃です。

無印良品の「木の家」は、この難波和彦先生の箱の家シリーズを元に開発され、そこに採用されたこの構法は、木造建築の新しい可能性を切り開くものでした。
構造計算によって、鉄筋コンクリートに匹敵する強度を持ちながら、木造ならではの暖かみを兼ね備えています。
安全性を科学的に証明しつつ、住宅規模の建物に効率的に採用でき、設計の自由度を広げるこの構法は、当時革新的な技術でした。

2014年、私は大分と東京で2拠点で活動しており、当時のFDMの前身の西日本ホーム株式会社でも仕事をしていました。
西日本ホームは、ツーバイフォー工法という優れた工法を全棟標準に、耐震性に優れた暖かい住まいを提案していましたが、ツーバイフォーだとどうしても出来ない大きな大開口を実現する構法で、かつ誰でも取り扱える構法が必要だと感じ、SE構法を本格的に取り入れる決断をしました。
それは、FDM株式会社が提供する住まいの安心と価値をさらに高めるための一歩でした。

SE構法は、全棟で構造計算を行うことにより、住まい手に「安心」を数値として提供できます。さらに、設計とデザインの幅が広がることで、住まい手の要望に柔軟に応えることができるようになりました。

現在、FDM株式会社は住宅建設に留まらず、無印良品の店舗や商業施設の建設にもSE構法を採用しています。
この構法は、木造建築の新たな可能性を開拓し、これまで挑戦したことのない規模や用途の建築にも適用できることを証明しています。
私たちの技術と経験を通じて、お客様が安心して暮らせる空間を提供することが私たちの喜びであり、使命です。

私たちが目指すのは、建築そのものだけでなく、その先にある人々の暮らしや価値観を豊かにすることです。
SE構法は、単なる技術ではなく、住まい手に「安全」と「自由」という目に見えない価値を届ける手段です。
これからも、構造という建物の本質を基盤にしながら、デザインと技術の両輪で価値ある住まいを提供していきたいと考えています。

私たちの挑戦は続きます。そして、その挑戦が生み出す家々が、住まい手にとってかけがえのない場所になることを信じています。

 


 

 

Autor

髙倉 潤  (JUN TAKAKURA )

FDM株式会社代表取締役社長。大学卒業後、東京と大分の2拠点で活動を続け2017年大分県に帰郷。同年、取締役副社長を務めたのち2021年5月代表取締役社長就任。