代表髙倉の本質的な話。 vol.2「より省エネルギーで災害に強い家づくりを」
代表髙倉の本質的な話。 vol.2
より省エネルギーで災害に強い家づくりを
こんにちは。代表の高倉です。
前回は、建築物省エネ法の改正についてコラムに書きましたが、今回はそれに伴う4号特例縮小についてお話しします。
私たちの住んでいる日本は、世界でも珍しく4つのプレートが集まる場所に位置しています。そのため、2011年から2020年にかけて、マグニチュード6.0以上の地震のうち全世界の17.9%が日本周辺で発生しています。それほど日本は地震の多い国なのです。2024年の元旦にも能登半島地震が発生し、8000棟近い家屋が全壊しています。
まず、なぜこんなに地震の多い国で壊れやすい家が多いのか、と疑問に思われる方も多いと思います。
古い家屋で瓦屋根などの重い屋根の建物が多いという理由もありますが、日本の建築基準法には4号特例という構造審査の省略制度があることも問題となっています。
以前から、この4号特例に関しては廃止の議論がありましたが、2025年4月の建築基準法改正で、ようやく4号特例が縮小されます。この改正により、4号建築物(建築基準法第6項第4号に該当する建築物)の枠組みが廃止され、構造や設備の審査が省略される範囲が縮小されます。これは耐震性の強化という意味と、前回のコラムで触れた建築物省エネ法の改正により、2025年4月からすべての新築住宅が省エネ基準に適合することが義務化されることも関係しています。
2025年4月からはすべての建物で省エネ基準への適合が義務化されるため、すべての建築物で着工前に省エネ基準に適合しているかのチェックをする必要があります。
【4号建築物に該当する建物】
* 木造:階数が2階以下、かつ延べ面積が500平米以下、かつ高さ13m以下、かつ軒高9m以下(ただし延べ面積が200平米を超える特殊建築物を除く)
* 木造以外の建物:平屋建て、かつ延べ面積が200平米以下
* ※特殊建築物:病院、学校、百貨店、ホテル、共同住宅、倉庫、自動車車庫等の一定の建築物
これには都市部の3階建て以外の住宅はほぼ当てはまります。
構造審査に関しての特例は、ざっくりいうと次のような内容です。
1. 木造2階建て500平米以下は、構造計算をしなくてよい。
2. その代わり壁の枚数ぐらいは数えておきなさい。
3. しかし確認検査ではチェックしない。
この様に、ほとんどの住宅はこの特例により耐震性を担保するための資料が無くても良い状況を法律が容認してきたわけです。
違法ではないし、材料も安くなるし、すぐ着工できるし、ということで多くの会社はこの特例を活用してきました。もちろん、真面目にやっている会社さんもありますが、まあ…抜け道だらけなわけです。現状。
今後高度経済成長を抜け人口減の日本において、より省エネルギーで災害に強い家づくりを行うことが必要になるということで、国もようやく法改正に乗り出しました。この様にきちんと法律で定めることで暖かく地震に強い家が少しでも増えることは良いことですね。
FDMでは、新築住宅に構造計算、省エネ計算を実施していますので、現行制度に適応しないということは起こり得ませんが、中古住宅のリフォームで現行法に適応させるのは、業界的に見て課題が沢山ありそうだなぁ、と個人的には思っています。
Autor
髙倉 潤 (JUN TAKAKURA )
FDM株式会社代表取締役社長。大学卒業後、東京と大分の2拠点で活動を続け2017年大分県に帰郷。同年、取締役副社長を務めたのち2021年5月代表取締役社長就任。